カテゴリー「書籍・雑誌」の42件の記事

「郡司と天皇」読了

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50年以上前から古墳を訪ねていますが、昔は「この古墳は、地元の豪族(あるいは有力者)が葬られています」の、ほぼワンパターンの現地説明板でした。近年は被葬候補者の推測がされるようになってきました。地方でも「物部氏」などの中央貴族と同名の地方豪族が多くいます。同じ名前の中央と地方の関係はどうなのか?関心があります。結論を言えば。物部氏などは中央と地方の血縁関係は、たいがいないのですが、奈良時代の「郡司」が前の時代である古墳時代の地方豪族とどうつながるのかを期待して読みました。残念ながらその点には触れられていないのですが、思わぬ発見がありました。

聖武天皇が、奈良・東大寺の大仏を作るきっかけとなったのが大阪の智識寺(現在は塔の礎石が残っている状態)です。
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赤い四角部分の拡大図
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その近くに行基が作った橋があったというのです。
行基は聖武天皇に請われて大仏の造営に当たりました。

智識寺跡を訪ねていた私にとって思わぬ発見でした。




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「古墳時代の歴史」読了

亡くなられた松木先生の遺稿ともいうべき著作で、都度地図などを参照しながら読んだので読了まで時間がかかりました。
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歴史では、何年に何が起こったということを年代順(編年体)に書いてゆきます。しかし古墳時代は、〇世紀前半に作られた古墳という表記がほぼすべてです。そうすると古墳時代の地域別年代別の全体像がつかみがたいです。本書は言ってみれば古墳時代を編年体で書いた意欲的な著作です。古墳時代の流れがよくつかめます。大変好評なようで、すぐに重版となっています。

私も手製の古墳時代の年表を作って、〇世紀XX頃というのを年表の中の実年代の中に置いて作っています。
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まさに待ち焦がれていたことをテーマにしてくれた本です。古墳に関心がある方の必読書だと思います。
今後、他の考古学者からの反論もあるでしょうが、この書が基本になって論議が深められてゆくでしょう。
私の年表もこの本を参考に手を入れてゆくつもりです。


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「暁の宇品」読了

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タイトルの「宇品」は広島市の軍港でした。広島で軍港といえば呉が有名です。この本を知るまでは宇品という地名を知りませんでした。
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 呉は海軍の軍港で、宇品は陸軍の軍港・・・・なぜ陸軍が軍港?本書はその謎に答えてくれます。
海軍は戦艦等で敵艦隊を撃滅するのが役目で、輸送船の護衛などは本来業務とは考えていなかった。ところが陸軍は兵員を上陸させるために物資・機材をを含めて海上輸送する必要に迫られていた。という事情で、自前でそれらを行わなければならなかった。という苦しい事情がありました。
兵站補給を考えれば、とてもアメリカと戦争などできる体制ではないと、現場から意見具申しても、軍上層部は、開戦に沿ったスケジュールを進めることありきで、現状を軽んじ、無視して突き進んだ。結果、予測をはるかに超えて、軍の兵站は破綻することになった。本書は、先の大戦の軍上層部の無謀と無責任を兵站輸送の事態から描いています。

戦前の予測で、「南太平洋でアメリカと日本が戦闘状態になったとき、本土から離れているアメリカは補給が苦しくなって、日本が有利になる」というのがありましたが、実際は、まったくその逆でした。

先の大戦の教訓を、私たちは生かしているのか?一度といわず、繰り返し繰り返し問い直してゆく必要を感じます。本書を薦めます。

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「運慶 その人と芸術」読了

「運慶展」が国立博物館で開かれているから読んだわけではなく、平安から鎌倉への歴史転換、平家から源氏への移行時期に、それまでの主流の京都の仏師から、奈良の仏師がどのように源頼朝に近づき、その地位を高めていったのか?仏像そのものではなく、仏師の社会的かかわりに関心をもって読み始めました。
私にとってメインの関心事ではないので、電車の中で読む本としていました。したがって、読了まで数か月かかりました。
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仏像制作の現場の様子などもわかり興味深く読んだのですが、愛知県岡崎市にある瀧山寺に源頼朝の歯と髪が体内に収められた仏像があることを知りました。豊臣秀吉の歯は見たことがありますので、この仏像に興味が引かれます。ただ体内にあるので、見ることはできないのでしょうが。

国立博物館の「運慶展」については、仏像は奈良で見ていますので、見ようかどうしようか迷っています。



 

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『卑弥呼とヤマト王権』読了

400ページの大著で、読み終えるまでに時間がかかりました。
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 私は、現在の学問レベルでは、邪馬台国はどこかはわからない。わからないものはわからないで、研究の進展を待つ。というスタンスです。

本書の著者寺沢薫氏は橿原考古学研究所等をへて現在纏向学研究センター長です。いわば邪馬台国大和説の中心地で長い学究生活を送っている考古学者です。

本書では、邪馬台国は大和(纏向遺跡がその都)であるが卑弥呼は倭国の王であり、邪馬台国の女王ではない。箸墓古墳は卑弥呼の墓ではなく卑弥呼の数代後の王墓であろう。大和盆地の生産性はそれほど高くなく、九州の諸国と倭国連合を成すときに、東日本との関係の地理的要因で邪馬台国がその中心として選ばれた。

考古資料が豊富で説得力があり、大筋で理解はできるのですが、邪馬台国からヤマト王権へのつながりがちょっと理解できませんでした。もう一度読む必要を感じています。

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『古墳』角川ソフィア文庫

今更「古墳」と銘打った本を読むこともなかろう。と思っていたのですが、書店でチラ見したら名前も知らない古墳が写真付きで載っていました。名が知られた古墳はほとんど知っていると思ったので、驚いて購入して読みました。
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本書は古墳の発生から終焉までよくまとまっています。異形の古墳と、さらに全都道府県の古墳を紹介しています。(知らない古墳多く出てくるわけです)とてもよくまとまっている本です。

私の古墳の話を聞いて興味をもって古墳に行った方がおられました。行っただけ(それも素晴らしいことです)でつまらなかったようです。予備知識がなければ、古墳は単にこんもりした小山であり、石室は石でできた小屋にすぎません。
「古墳はどうして無くなったのですか?」と聞かれたこともありました。ばっちり回答が載っています。

古墳を理解するのにお薦めの本です。

著者の松本さんは、若くしてお亡くなりになりました。残念です。氏の他の著作を読んでゆきたいと思っています。

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「都はなぜ移るのか」読了

本を選ぶとき、当然のことながら「テーマ」です。次に「著者」です。
同じようなテーマでも、いろいろな見方を知りたいので多くの著者の本を読むようにしています。
この本も著者はとても信頼できる先生です。
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飛鳥の都からの変遷が詳しく述べられている好著です。が、
文献の記述と発掘調査の結果を照合して宮殿の配置の変遷にふれています。
この本が、発刊されたのが14年前
その後の発掘の成果がこの本の記述を否定するところが何か所かありました。歴史書の持つ宿命です。

藤原京へ行った人は、「宮殿の位置が、都の中で低い位置にあり排水などで不都合だ」と感じ、短命の都だった理由に結びつけたくなるのですが、本書では「遷都が行われるのは政治的理由であって、地理的条件を過大視すべきでない」との論証は説得力がありました。

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「女帝・皇后と平城京の時代」読了

書名に平城京とついていますが、平城京の記述は1/4です。飛鳥の宮から藤原京への移り変わりの政治的背景が詳しく解説されています。
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飛鳥から藤原京への変遷とその影響が及んだ平城京とを比較すると各寺院の所在地などがクリアに見えてきます。そして藤原氏の影響が条坊制に反映されていることがよく理解できます。
また、藤原京が地理的条件(宮が低い地区にある)によって廃都されたことを否定し「遷都は政治的意図でなされる」との主張は、目からうろこが落ちた思いです。

この時代に興味をお持ちの方には、ぜひお薦めしたい本です。

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「古代氏族の系図を読み解く」読了

11月17日の講演会会場で
歴史書籍が2割引きで販売されていました
良い機会だと5冊購入しました
その中の1冊を読了しました
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古代氏族の系図を一本の筋で見て
どこが本当か、どこが作りごとか?
なんとなく漠然と見ていたのですが

氏族間の力関係と
(本家・分家・そのまた分家間の勢力伸長)
中央政権との時代背景で作られたかによって
系図は作られ、系図は時代とともに変化した

・・・・「系図は常に変化してきた」

この本には取り上げられていませんが
蘇我氏が入鹿の殺害で消滅したのが本宗家であって
蘇我石川麻呂の系統は続きました
そうした知識が下敷きとなっていましたので
この本の記述には驚きましたが
違和感はありませんでした

また一つ理解が深まりました。


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『神武天皇の歴史学』読了

外池昇氏の著作です
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伝説上の人物の神武天皇の墓がなぜあるのか?
それは、幕末に孝明天皇が伝承地3ヶ所から選んで決めたからです。

そこは知っていたのですが、なにをもとに孝明天皇が決めたのかがわかりませんでした
本書はその経緯、歴史的背景について詳しく書かれています
幕末に作られた神武天皇陵に関する決定版といってよいと思います


天皇や皇族がお参りする墓が「さしたる根拠もない墓である」こと
伝説上の人物の墓を作るというのは、そういうことなのですが
大方の人は、そうしたことは知りません

この本は、幕末に作られた神武天皇陵について述べていますが
藤原京を作った時にも作られています

神武陵については、あらためて記事にしたいと思います。





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