カテゴリー「映画・テレビ」の14件の記事

木曽義仲の扱いにがっかり(鎌倉殿の13人)

昨日放映されたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
まず、合戦シーンの描き方にがっかりです。
一ノ谷の合戦、宇治川合戦、粟津の合戦とあったのですが
「ショボイ」の一言です。
費用を節約するならCGと組み合わせる手もあったでしょうが、それは無し
迫力ゼロ。合戦というより「小競り合いのみ」でした。
主役が鎌倉殿の13人としても、これでは主役もひきたたないです。

義仲の最期にしても、
後白河法皇への別れの独白に時間を割いて
矢に当たっての最期は、平家物語に伝えられているシチュエーションと全く違います
ドラマの創作といえばそれまでですが、まあ、ぶち壊しですね。

番組最後の史蹟紹介で「義仲寺」が取り上げられました。
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芭蕉のお墓が隣にあると、これまたよく知られていることですが、
大河ドラマの描写では、
芭蕉が「木曽殿の横にわが亡骸を葬って欲しい」と言った、その気持ちが伝わってきません。

大河ドラマ つ ま ら な か っ た

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映画“はやぶさ 遥かなる帰還”

昨年公開された“はやぶさ/HAYABUSA”も見ていますが取り上げたシーンが少し違います。イオンエンジンのメーカーの社員が商品化のためミッションと利害が衝突したこと。NASAが通信施設の便宜を打ち切ろうとした時の交渉とNASAのミッションに比べると格段に予算が少なかったこと。それにイトカワでのタッチダウンの様相が少し詳しく描かれていました。
“はやぶさ/HAYABUSA”を見た方にもお勧めできます。2本見たほうが良いと思います。
大まかなストーリーは映画を見る前にわかっているわけですが、それでも感激を新たにします。

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映画“聯合艦隊司令長官 山本五十六”

正確な映画の題名は、ちょっと長くて“聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実”です。見に行ったのは先週ですが、上映は今週金曜日で終わるところが多いようです。とても良い映画です。
戦闘シーンが中心だったりする戦争映画ではなく、なぜあの無謀な戦争に突入したのか?という近現代史をテーマにした歴史時代映画です。大きなテーマですのでどのように描くのか不安と期待がありましたが、よくまとめて描いていたと思います。
今までは、ともすると「軍部独走」に焦点が当たり、見落とされがちだったマスコミのリード、それに一般国民も前のめりになっていったことが描かれていました。
山本長官のバックボーンとして戊辰戦争で戦火で焼かれた新潟・長岡藩の気風「常在戦場」「米百表」の精神などが織り込まれています。敗戦の悲惨を知る武人・山本五十六を浮き彫りにしています。それに比べ「行け行けどんどん」の若手軍人、時代におもね、信念を持たず開戦につながる三国同盟締結に流される、確固たる戦略も描けない海軍省の上層部があります。
映画の最後のほうで「この戦争で亡くなった日本人は三百万人を超えます。その9割が山本長官の戦死後に無くなりました。」とナレーションが流れます。
「バスに乗り遅れるな」と言った状態で勝算もない戦争に突入し、終結をする勇気も信念もなかったことの代償のあまりの大きさを訴えていました。
今に生きる我々への警鐘となる映画です。

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映画“タンタンの冒険”はありきたりの映画

“巨匠スティーヴン・スピルバーグが放つエンタメ超大作”のキャッチコピーに完全に騙されました。
確かに、アニメとしては実写に近い感覚の映像技術というのは新機軸なのでしょうが、映画は「総合芸術」の言葉があるように「なにを訴えるのか?」が響いてこなければ駄作もいいところです。映像の新機軸といってもインパクトがあるわけでも無く、エンタメ性だってありきたりの冒険ものですし、まったくつまらない映画に付き合ってしまいました。

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映画“一命”3D

3Dテレビを買ったので、もう映画は3Dで見たいと思って見に行きました。そんな気持ちがぶっ飛んでしまう、テーマがきつい、重い映画でした。
幕府によってお取り潰しに合い浪人となった(瑛太さん)が子供を医者に見せるためのお金を稼ぐため狂言切腹を企てるのですが、本当に切腹せざるを得なくなります。その場面では手を握り締めて、力が入ってしまいました。
その父の役が海老蔵さんです。歌舞伎で海老蔵さんを良く見ていますが、歌舞伎の台詞回しっぽくならないかと思っていましたがまったくそんなことはなく、歌舞伎役者の力でしょうか、言葉に力がありました。さすがです。良かったです。ただ、メイキングはもう少し老けた作りにした方が良かった。
きつい、重いテーマでしたが、海老蔵さんの立ち回りで井伊家の武士が散々に打ちすえられて少し気が和らぎました。見て良かった。
最後に井伊家の甲冑が出てきます。「赤備え」で徳川の戦陣の一番手で勇猛果敢の象徴ですが、その甲冑が倒れ、そして嘘の言い訳をする、保身だけの武士に堕落してしまった象徴として扱われています。一つの画面で堕落してしまった武士の世界を見事に描き切っていました。
3Dも自然で良かったです。

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パイレーツオブカリビアン 生命の泉 3D

good  good  good !!

3Dテレビとブルーレイレコーダーを買って1ケ月。テレビ番組を疑似3Dで見ることはあったのですが、きちっとした3Dのコンテンツを見たのは初めてでした。部屋の照明は、主照明は点けず、電球をコントルックスで光を落とし気味にして、TV画面は標準の明るさにしてみました。ちょうど良かったです。
ビールを飲みながら、途中一時停止でお手洗い休憩と、このへんが自宅で見れるアドバンテージです。
15分ほどして、字幕が二重に見えると嫁さんが言いだしました。「それって3Dメガネの電源が入っていないでしょ。」と言ったら今度はきれいに見えると喜びました。この15分は何だったのでしょう。目が疲れると云われていましたが、そんなことはまったくありませんでした。最後まで疲れることもなく見ました。
amazonが価格的には安かったのですが“売切れ、在庫なし。そこで、家電量販店に行ったのですが、5480円です。同店のNETとの販売価格差が500円ほどありましたので、交渉したところ価格は合わせます。ということで購入です。3Dのテレビとブルーレイは買ったけど魅力的なコンテンツがないと思っていた人は多かったのではないでしょうか。発売タイミングが良かった気がします。
映像は、3Dの具合が誇張されることなく自然で良かった。

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先着購入特典のA5クリアファイルはどうでもよかったです。ディスクも4枚も入っていますが、少なくして価格を低くしてもらいたいですね。

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映画”はやぶさ HAYABUSA”

映画の前に火星の石や地球の裏側の石、オーロラの上映を見てから、はやぶさ映画を見る軌道に入りました。
遥かかなたで次々と起こるトラブル。行方不明のはやぶさと通信回復への先の見えない努力など、はやぶさにかかわったJAXAの担当者の懊悩が推測されます。映画ではそのあたりの味付けが軽かったような気はしますが、それでも映画を見ていて目がうるうるしてきました。
思えば3年半ほど前にJAXAの講演会でまだ帰ってくるともわかっていなかったはやぶさを紹介する10分ほどの映画で若い女性が泣いていたのを記憶しています(こちらがその時の記事ですhttp://try14.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_0cc4.html)が、こうして映画を見て自分自身がそうなるとは思いませんでした。映画には“はやぶさファン”という役もありました。余計な演出だと思います。ですが、そうした点があったとしても見て損はない映画だと思います。
来年になると渡辺謙さんのはやぶさの映画が上映されます。こちらも楽しみです。

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今年の大河ドラマはだめです

NHKの大河ドラマ“江”の出来は、だめです。
ヒステリックな場面がやたら目につきますし、物語の進行上、江を引っ張り出してその場に立ち会わせるため、あり得ないシチュエーションがたびたび出てきます。「講釈師、見てきたような嘘を言い」という言葉がありますが、安土・桃山の頃の人は、今は誰もいないわけですけど、もう少しましな嘘を作ってもらいたいものです。
それに、この時代のドラマを見る時、石田三成をどう描くかによってそのドラマの方向とクオリティーがわかります。水戸光圀をしても「三成は主のために義を通した立派な人物」と言わしめました。今に伝わるエピソードから浮かび上がる三成像と、このドラマでの三成の描き方は大きく離れています。それにここまでの秀吉も単なる「エロ爺」になっています。
主人公の江もやたら威勢が良いだけで、過酷な生い立ちにに耐え、超えてゆく姿が見えてきません。全体的に薄っぺらな物語りになっています。昨年の龍馬が良かっただけに、今年の大河ドラマの貧弱ぶりがより一層際立っているように見えます。

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NHK TV 「鴎外の恋人 ~百二十年後の真実~」

森鴎外の「舞姫」の主人公“エリス”には実在したモデルがいたと云われ、その人物を追ったNHKハイビジョン特集の1時間30分のドキュメンタリを見ました。
ベールに包まれた恋人をさまざまな記録、文書から解き明かし、そしてドイツ在住のお孫さんにまで行きつく番組は、見応えがありました。秀作です。

高校時代の国語の時間に「舞姫」を題材にクラスで討論した記憶が今でも残っています。活発な討論の中で、級友の一人の「エリスを愛してはいなかった。と作者自身が云っている。」の一言で討論がシーンと押し黙ってしまった時に、先生が「小説だから、その言葉にとらわれる必要はないですよ。」と云ったのです。
この番組を見ながらその事を思い出しながら、鴎外はひょっとして“一生心の傷を持ち続けたのでは?”と思いました。
私は、エリスは鴎外を追って日本に来たと思っていましたが、番組では鴎外の意思で日本に連れてきたということになっています。すると数十年前の級友の一言はどこから出たのか?新たな疑問として沸いてきました。

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映画“桜田門外ノ変”は期待外れ

原作者・吉村昭は「歴史小説は、その背景となった時代の性格を裁断するという役割もになっている。方法としては、作者が表面に出て自らの解釈を明確にすることと、史実を記してその判断を読者にゆだねることの二つがある。私は、後者の立場に身をおいているが、それは多分に自分の素質にもとづくやむを得ないものだと思っている。」と語っています。前者の立場とは司馬遼太郎らを指していることは想像に難くありません。
映画では井伊直弼襲撃を冒頭部分に持ってきて、そこに至るまでの過程を時間を戻しながら、襲撃後の逃走と並行して見せる手法をとりました。時系列を無視した手法は事のあらましをわかりにくくしています。予備知識がないと理解しきれないかもしれません。
歴史的事実としての襲撃そのものの評価は別として襲撃に至る思いが伝わってきません。しかも全体として細切れの描写となっていて深みがありません。主人公が九州まで行った逃避行。さらに、最後に捕われたのが茨城から福島を通って新潟まで逃げてのことであったことなど、持病に悩みながらの苦衷が、どこまで表現できていたのか?まったくの消化不足です。
原作者は雪がいつ降り止んだのかを明らかにすることにまで執念を持っていた点は表現していましたが、淡々と事実を追ってゆくことによって時代と人物を描きあげる吉村文学はこの映画からは感じられません。
事件の理解というところでは、大名の登城行列が一種の観光になっていたことが、襲撃側の待ち伏せが怪しまれなかった理由ですが、描写が弱かった。また、襲撃現場と井伊の屋敷が100メートルほどの距離にしか見えないため、なぜ井伊の加勢が来なかったのか?という疑問を感じることになる方もいるでしょう。
時代の雰囲気が感じられ場れば細かいことは良いと思うのですが、それにしても、桜田門に【桜田門】の大きな表札がかかっていたり、薩摩のお屋敷の扉に島津の家紋が大きく描かれていたなどは、ちょっとひどすぎます。
予備知識を持ってから見に行かないと、見るのにちょっとキツイ映画かなと思います。

------史蹟等------

 

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歌川広重《名所江戸百景》
事件の4年ほど前に描かれた井伊家の屋敷と門。事件現場近くの上空から俯瞰した感じになっています。この浮世絵が出された時には、井伊直弼はまだ大老にはなっていません。

 

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絵の中に描かれている門の前にある井戸は十数メートル移動してまだあります。

 

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井伊家の屋敷跡方向から見た(外)桜田門です。
元は加藤清正邸の屋敷でした。井伊邸の後は陸軍参謀本部へ、そして現在は憲政記念館となっています。

 

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直弼の首が捨てられた場所・・・現在ビルの工事中です。

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