「奈良朝の政変と道鏡」読了
昨年11月の奈良旅行の前後から奈良時代の本をかなりのペースで継続的に読んでいます。
そして、今年の1月の大阪への旅行でも道鏡の関連史蹟を巡りました。
宇佐八幡宮から、始まって下野薬師寺、弓削寺跡など、弓削道鏡の史跡を巡ってきました。
「藤原仲麻呂と道鏡」「天皇側近たちの奈良時代」「藤原仲麻呂」「聖武天皇と仏都平城京」など、
関連の本を読み進めてきました。
そして、弓削道鏡について、おそらくもっとも紙幅を割いている瀧浪貞子著「奈良朝の政変と道鏡」を読み終えました。
11年前に出版されましたが、道鏡に関する研究をリードしている本です。
「道鏡を天皇に就けよ」とした、いわゆる宇佐八幡宮神託事件について
宇佐八幡宮の中の派閥争いの中から八幡宮側からの発端となったとして
道鏡が天皇の位を狙ったというのは、後世の平安貴族のレッテル貼りだとしています
精緻な論考で説得力があります。一押しです。
読みながら、続日本紀の原文と現代文訳に当たりました。
楽しかったです。
この著作について、一点だけ異を唱えたいところがあります
下野市にある道鏡の墓を写真付きで紹介しています
しかしこの墓(古墳)は時代が違っていて道鏡の墓ではありません
道鏡の死の報告を受けたとき、朝廷は庶民としての扱いで葬るようにと指示しています。
当時の庶民の墓が、わからないのと同様道鏡の墓もどこかわかりません
近くに称徳天皇の塚があることも紹介しています
筆者は、どちらも根拠がないことを知っています
道鏡は言われるような『怪僧ではない』とすることからくる
贔屓の引き倒しの側面を感じました。
ですが、本書の学術的な価値を損なうものではないことは強調しておきたいです。
いくつかの道鏡関連史蹟めぐりがまだ残っています。
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