『鏡が語る古代史』読了
古墳時代に欠かせない銅鏡。国内の「伝世」の問題、卑弥呼がもらった鏡は?と言ったことに関心が集中してしまっていました。この本は、中国での銅鏡の歴史について書かれていますので、中国の事情については知識が少なかったので興味を持って読みました。
銅鏡の銘文を丹念に解説してゆきますので、久しぶりに漢文の勉強をした気持ちになりました。銅鏡の銘文を読んでみたいという気持ちになります。
手元にあった銅鏡の写真の解読を試みました。
この銅鏡の部分です。
読んでみました。
やはり難しいですが、このように読んでみました。
吾作月竟 幽涷三商
吾れ明鏡を作るに 三商を幽錬す
『私は、この素晴らしい鏡を作るにあたって、三種類の金属を密かに精錬した。』
どこを手掛かりに読むかです。ぐるっと円周に沿って書かれていますので、『竟=鏡』が手掛かりです。文字の一部で省略したり、音を借りて他の文字で表わしたりするので難しいです。定型で始まっているので何とかなりました。
銅鏡が作られはじめたのは、紀元前2000年ごろです。卑弥呼が中国からもらう2000年ほど前です。勿論それ以前に日本には入ってきていました。
銅鏡は、化粧道具として、魔よけとして使われたこと、鏡の価格が下級官吏の給与でも十分買えた価格であること。つまり商品として販売されていたことです。ちなみに鏡に価格が明示されているのは1例のみだそうです。
訪れた古墳から出土した例が多く出てきたことも、読んでいて楽しかった。
三角縁神獣鏡については、“いわば特注の中国製”説をとっています。論考については説得力がありますが、確定には、成分分析などの科学的知見が必要なのだろうと思います。
古代銅鏡を見る楽しみが増えました。それをこの本が教えてくれました。
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