『古墳の古代史 -東アジアの中の日本』 読了
日本、朝鮮、中国における古代墳墓の共通性と地域の独自性についての好著です。特に印象に残った点を二点あげます。
古代、中国から輸入され、古墳に大量に副葬された鏡
権力の関係がどうのということに関心がいってましたが、この鏡の輸入と引き換えに輸出されていた品に『人間』が含まれていたことを知り、輸出された人間に思いが至り、私の「鏡を見る」目が今までとは変わりました。
もう一点は、日本の前方後円墳の形の由来です。
「壺形土器をかたどった」という説を、NHKの歴史秘話ヒストリアで紹介していましたが、『ばかばかしい説』と思っていました。
この著書では、“「弥生時代の円形周溝墓に起源があり、円丘墓に付けられた陸橋部分が後方部の起源になった。」のは考古学界の通説になっている。”
もう通説になっているんだ!という驚きがありました。
円形周溝墓とは、土まんじゅうを作る時周りを掘るのですがその溝が360ではなく一カ所土まんじゅうに行く部分をのこす。(その部分を陸橋と表現しています)
どこからが著者の独自の論なのかは良くわからない点はありますが、古墳に関する最新知識が得られました。
(森下章司著)
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コメント
私も衝撃を受けたのですが、
驚きはしませんでした。
人権という概念は18世紀からですし、
日本でも、戦前まで人身売買が行われていました。
その点でいえば、今は幸せな時代です。
古代の鏡を、ノーテンキで見ていた自分を
気づかされました。
投稿: 最前列 | 2017年5月15日 (月) 10時47分
鏡と引き換えに人間!!
衝撃的ですね。゚(゚´ω`゚)゚。なんだか重い気持ちになります。
投稿: napo | 2017年5月15日 (月) 09時08分