“生麦事件 激震、幕末日本”展
生麦事件から今年で150年ということで、横浜開港資料館と横浜市歴史博物館で生麦事件の展覧会が10月まで開かれていました。両館とも見た方にはポストカードが贈られました。
事件現場付近の有名な写真のポストカードです。(先着1,000名まで)
1862年、生麦村(現・横浜市鶴見区)で薩摩藩の島津久光一行の行列にイギリス人が馬に乗ったまま行列に入り込んで、無礼打ちにあって1人死亡、2人が重傷を負った事件で、イギリス艦隊が報復に鹿児島を襲い、鹿児島の街を焼き払いました。薩英戦争です。この戦いでイギリスの力を知った薩摩はイギリスに接近し、明治維新へとつながって行きます。明治維新が爆弾なら生麦事件は導火線の先端で火をつけた事件ということになります。
事件の発端となり死亡したリチャードソンは、1カ月ほど前に上海から日本に来たばかりで、イギリスに帰国する前に日本に立ち寄りました。日本の殺気立つ時代背景と日本の習慣には全く慣れていませんでした。リチャードソン自身はイギリスにいる親にあてた手紙で「日本はイングランド以外の場所で私が訪れた最高の国です。」と、日本を絶賛しています。まったく不幸な偶発事件というしかありません。時としてこうしためぐり合わせが歴史を大きく動かします。
横浜開港資料館はリチャードソンの手紙など事件の当事者の資料が多く展示され、歴史博物館は当時の外国人襲撃事件など周辺資料が多く展示されていました。
日本国内からの視点で見れば、外国人襲撃事件の多発は「攘夷」でくくられてしまいますが、外国から見れば、「外国人という理由だけで誰でも殺害の対象になる。なんと理不尽な事だ。」となるでしょう。明治維新というと歴史のダイナミズムを感じる一方で、維新に向かう歴史の流れの中に狂気も強く感じるようになりました。
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