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吉村昭作“長英逃亡”と高野長英の隠れ家跡

映画“桜田門外ノ変”は、吉村昭の原作を映像にすることにある意味見事に失敗した作品です。吉村作品は“逃亡”を扱った作品が多くあります。個人の思いと時代と社会体制の狭間で“逃亡”となるのですが、映画にするには難しいテーマだったのでしょう。映画を見た人の感想では大老暗殺に焦点が集まりすぎて、その後の“逃亡”への深みがまったくありませんでした。
“逃亡”は気が重い主題です。以前に「長英逃亡」をちょっとだけ読んでやめて読了していませんでした。“桜田門外ノ変”を契機に再度チャレンジしました。今回も何ページか読んで気が重くなりかけたのですが、「覚悟を決め」読み進め2日程で読み終えました。小説を読むのに「覚悟を決めなければならない」作品は、少なくとも私には他にはありませんでした。
これまた逃亡の“彦九郎山河”も続けて読みました。“長英逃亡”で洗脳されてしまったのか?これまたあっという間に読みました。

“長英逃亡”の大まかなあらすじ
江戸時代末期、当代きっての蘭方医・蘭学者の高野長英が政争の犠牲で牢に収監され、牢名主にまでなります。蘭学への思いから、牢に放火させて脱獄します。東北から中国四国まで逃亡します。一時大名家に雇われたり、薬品で顔をやけどさせて素顔を隠したりたりするのですが、脱獄から11年後に捕われて、その場で亡くなります。

高野長英については簡単な知識はありましたが、「こんなにも壮絶な人生があった。」とはショックでした。それを今まで知らなかったショックもありました。覚悟を決めて読んで良かったと思いました。

実は、さらにショックが続きました。
私は秩父宮ラグビー場へは渋谷駅から宮益坂、青山通りを歩いてゆきます。国連大学前のファーマーズ・マーケットを覗きながらです。年に軽く20回は往復します。なんと、長英が捕らえられ亡くなった場所が青山通りにあるのです。ただしいつも私が歩く反対側です。一体何回素通りしてしまったのか。

長英の隠れ家は“青山百人町の小島勘次郎の持ち家の離れ”です。

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今はスパイラルホールになっています。

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ホールの左手の壁に石碑が埋め込まれています。石碑はビルを建てた時少し移動したようです。

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青山5丁目の交差点にある地図に記載されています。

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