国宝 阿修羅展に想う(5) TV番組“阿修羅像の涙”
4月18日にテレビ朝日系列で“阿修羅の涙”と題して「阿修羅展」のガイド的な番組が放映されました。女優の黒木瞳さんの案内で番組が進んだのですが、一瞬「どきっ」とする場面がありました。
私は阿修羅像のお顔(視線)の向きが像から見て少し右を向いているので、中心仏であるご本尊の向かって右手に安置されていると推測しました。ところが鎌倉時代の興福寺曼荼羅図では阿修羅は左手に描かれていました。番組ではこの曼陀羅を立体的に紹介していました。ここで、阿修羅がまるでご本尊の右手に位置しているかのようなアングルで紹介していました。私は位置に注目し、ご本尊の右手にあったと思っていましたからこの画面にはびっくりしました。が、興福寺曼荼羅図に注目していなかったなら気付かなかったでしょう。
曼荼羅図をスケッチしました。赤が阿修羅の位置ですが、黄色に書いた位置にあったほうが自然だと思います。もちろん単なる物好きの感想なので、取るに足らないことなのですが、こうした目で見ると学究者の意見で見えてくるものがあります。なお、隣の青は迦楼羅=あの鳥の顔を持つ思いきり(像から見て)左を見ている像です。
興福寺曼荼羅図は京都国立博物館所蔵で、画像はこちらから見れます。→http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/index.html 開いて225-5284-3に西金堂の阿修羅像が画かれています。東京国立博物館の特別展会場のショップでは販売されていませんが、本館のミュージアムショップでは絵はがきとして販売されていました。ミュージアムショップで見つけた時はちょっとした驚きというか興奮しました。
この番組のタイトル“阿修羅の涙”・・・・元をたどれば戦いの神である阿修羅に“涙”はそぐわないと感じました。光明皇后の母を偲ぶ強い気持ちがあったにせよ、やはり少し違和感を感じました。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 面構 片岡球子 展(2023.01.19)
- 東芝フィルハーモニー管弦楽団 第49回定期演奏会(2022.12.25)
- 「日本美術をひも解く」展 東京芸術大学美術館(2022.08.28)
- 平治物語絵巻 三条殿夜討(2022.08.26)
「歴史・史蹟」カテゴリの記事
- 石田三成所持の刀(2023.02.03)
- 永福寺(ようふくじ)鎌倉市(2023.01.09)
- 西南の役 戦跡(2022.12.31)
- 熊本城再訪(2022.12.17)
- 横浜開港資料館(2022.11.27)
コメント