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日本の原像

小学館から発刊されている“日本の歴史”の第2巻目の《日本の原像》を読了しました。新鮮だったのは、多量に発掘される木簡、墨書土器、漆文書から古代人の文字習熟度が社会階層と対比されながら説き起こされています。また、地名がどこまで遡り得るのかの実例も紹介されています。読み応えがありました。これからも地道な発見の積み重ねで古代の様相が解き明かされてゆく期待を持ちました。一方で、日本の古代史の実相を明らかにしてくれる木簡が遺跡破壊の中で危うい状況であるなど現代の問題点も指摘しています。大切な文化遺産である地名も同様です。
読後のもう一つの感想なのですが、高温多湿な日本では古墳などに描かれた絵画などが残るのは厳しい環境です。エジプトの絵画がはるかに長い歴史を持っていても鮮やかに残っていることと比較すると一目瞭然です。しかし“墨”の威力はすばらしいものです。あらためて感じました。

私は、シリーズで出版される通史は、「焼き直し」との先入観があるため敬遠する方なのですが、このシリーズは期待できます。

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