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陵墓の立ち入り調査許可 

宮内庁が五社神古墳(伝神功皇后陵)への限定的な立入りを考古学協会に許可したとの報道がなされました。
 ここまで、かたくなに立入りを拒み続けていましたから一歩前進ではありますが、まったく不十分です。宮内庁は「御霊の安寧と静謐を守るため」と主張しています。平たく言えば「皇室のご先祖様のお墓をあばく事は許されません。皆さんのお宅でもご先祖様の墓があばかれる事を良しとしますか?」ということです。
 一見、もっともなお話のようですが、根本的な問題の一つに、“本当に皇室のご先祖のお墓なのか?”と云うことがあります。陵墓の比定地が変わったり、比定されたために築造年代に合わせるため、墳墓そのものを変形させてしまったり、そもそも実在が疑わしい天皇のお墓があったりします。これは、人様のご先祖様のお墓を「皇室の先祖の墓にしてしまっている」と云うことになります。逆に、大王陵(天皇陵)と多くの考古学者が比定している古墳が宮内庁から陵墓に指定されていないケースもあります。このように考古学的には疑問符がつく例が数多くあります。
 古墳は、国民すべての文化遺産です。なにも片っ端から古墳を掘るべきだなどと言うつもりはまったくありません。日本の歴史を明らかにする国民共有の文化遺産としての扱いを受けるべきだと思います。

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